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邪鬼様母上ネタ

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ひさかたぶりに見た母はまたいっそう痩せたようだった。
大豪院の結界は活きているが、自然の摂理に逆らうのも無理がきている。

ベッドに上半身を起こした母は邪鬼に微笑みかけた。
「元気にしていましたか」
それは邪鬼の言いたい事だった。
「母上、食事を摂らねばよくなるはずもない」
「今はなんにも欲しくありません」
「そうはいかない、母上」
こわい目をして邪鬼が母を睨むと、
「……そうですね、わたくし、鯉が食べたく思います」

「鯉」
「昔、お父様はいきなりわたくしの部屋に鯉を放り込みなすったのです。……大きな鯉でした、神様のような、手鏡のような大きさの鱗をした鯉。あらいにして、鯉こくにして、鱗や目玉は唐揚げに、……とても美味しかった」

手鏡のような鱗、
想像もつかないような巨大さだ。
だが大豪院の男にはみょうに似合う。

「鯉は滋養があるそうで、わたくしはあれを食べてようやく邪鬼さんにお乳があげられたのですよ」

邪鬼がかすかに顔を背けた。
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