おおみそか3

「じいちゃん！あけたッ！」
お年玉おくれ、と12時きっかりに跳ね起きてきた孫を、


富樫の血筋だなぁと感心した桃である。

おおみそか2

「…ん？」
「…どうした…」
「伊達、いつの間にか年が開けているぞ」
「いいから、とっとと…！」
「フッフフすまん、辛抱させたな」
「てめぇという奴はっ…」

語尾が震えた。

おおみそか

「今年が終わるな、富樫」
「そうだな、桃」

お互い盃をぐいとあおって、青い月夜に笑み交わす。

どこへもいかないで

「おい江戸川、てめえは正月どうする」
赤石はいつもより怖い顔をしていた。
「へ、へぇワシは…」
「俺はここにいるぞ」
「………そんなら、ワシも…」



「うらやましいな、な、」
桃は伊達をチラと見た。
「え！俺かよ！！」

手編みの靴下

影慶の作った手編みの靴下は、ぎこちない。
やはりきちんとしたものを買うか、作ってもらったほうがいいのではないかと羅刹にたずねられ、

「小さな穴があいている。あれなら、プレゼントはここから零れ落ちたのですよと言える」

真面目に言われ、羅刹は何もいえなくなってしまった。