長くすんなりとした、しかし筋肉がヒタリとついた脚が羅刹の太ももに横切りのさばっている。
「……おい」
羅刹がギロリと睨んでも、その脚の持ち主はニヤニヤしているばかりだった。
「………伊達、」
「なんだ?」
素知らぬ顔で、伊達は笑った。
羅刹は読みかけの本をページを開いたままに伏せて睨んだ。
「何なんだ」
「かわいい後輩が来てるってのに、読書だなんて野暮だぜ」
軽軽と伊達は羅刹の太ももに横座りをしてみせた。
羅刹がよせ、と止める間もなかった。
「遊んでくれよ」
にんまりと舌舐めずりをしながら。
気まぐれの猫のような美しい生き物。
今日も羅刹はそのたぐいまれな毛並みをなでる。