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男塾の描写練習をしていきます。 ツッコミ歓迎コメント歓迎
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「富樫の奴、桃に英語教わるんだと」
「へぇ、どんな感じかな」
「何でもABCから始めてるらしいぜ」
「へぇえ」







「富樫の奴、桃のレッスン止めたらしいぜ」
「へぇ、どうして」
「エフだの、ヴィだのの発音で唇噛む度にこう、チュッと」
「へぇえ、チュッと」
「富樫が悪いよなぁ」
「富樫が悪いねぇ」







「そんな顔する、お前が悪いぜ」
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富樫は土曜日の夜、孤独である。
兄が日曜休みを活かしての夜勤のためである。

「明け方帰って来たら、すぐに寝られるように」

風呂に入らずに、倒れるように眠る兄のために布団をしき、身体をぬぐう手拭いを用意する。

そして玄関が開く音を、それがどんなに明け方でも走り出でて出迎えるのだ。
桃は唇の右端が切れているのに気付く、からいものを食べたり舌先で刺激しつづければ見つかるようなごくかすかなものである。

なんだ、

頭をめぐらせる。
と、愛しい傷顔が浮かんできた。

富樫の左犬歯は整然と並ぶ列を乱しており、その丈夫さでもって桃の唇を傷つけたのである。
「富樫、お前引っ越すなら…煙突のある家はどうだ?」
「煙突?」

そうさ、と桃は胸を張った。

「お前に会いたくなったら、夜中でも煙突から入れるだろ」

「あ、合鍵ぐれぇやるよ!」

「………フッフフ、ありがとな富樫」



はやまった、お前ははやまったんだと伊達は富樫を憐れんだ。
伊達は桃をまぶしく思う。そんな桃の舌が、

あの気迫を叫ぶ舌が、
敵を赦す指が、

すがすがしい眼差しが
ずるずると粘度を帯びて自分を這いずるのを、伊達は許せそうにない。


「お前は、きれいだ」
言われる度に伊達は汚泥にまみれる気持ちになる。


しかしいつどこにあれども、伊達は伊達臣人であった。
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