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自殺などまっぴらだ、
誰かの手にかけられるのもごめんだ、
病に醜く朽ちていくのも、
ましてや、幸せな家庭をつくり、幸せに天寿を全うするのも嫌だ、

「邪鬼様、貴方の手にかかりたいのです」
影慶はまよいを見せない、歪な硬質さで邪鬼へ願った。
「よかろう」

短く邪鬼は応じた。影慶の覚悟を汚すか、自分の手を血に染めるか、選ぶべきは間違いなく後者である。
それぐらいの覚悟が無くて大豪院邪鬼にはなれぬ。

修羅の道を歩ませようという影慶の欲望を、邪鬼は正面から受けた。
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井上理髪店は、赤石剛次赤石十蔵の髪の毛を一手に引き受けている。

剛次の髭を丁寧にあたったのち、カマキリのように細身の店主がばりばりに凝り固まった剛次肩を揉んでくれる。幼心に十蔵は気持ちがよさそうだと思っていたのだが、大人の特権だと言って揉んでもらえず、それどころかくすぐられてしまった。


「お願いします」
息子と父親と母親がずらり並んで髪の毛を切るという、世にも珍しい光景が見られるのも井上理髪店ならでは。
さて桃はどうくるか、伊達は懐から腕を出し人差し指と親指で顎をつまむ。
おおかた大嫌いだと言いに来るのだろう。
知りうる言葉のなかでもっとも激しく痛い言葉をもちいて伊達を傷つけるだろう。
エイプリルフールだから。
わかっていても伊達が戸惑うのを見に来るのだろう。
そんなふうに考えていた伊達の元に、仏頂面が桃の来訪を告げに来た。



「何か言うことでもあるかよ」
先手を打って、伊達が尋ねる。
桃は黒目のすずやかな目元をひとうちして、
「好きだ、伊達」
当たり前のように、
おはようと言うようにそう言った。

伊達はひどく驚いた。
傷つけられるよりよほど悪い。
思わず伊達は身を乗り出して、
「桃」
自分でも舌打ちしそうなぐらいに余裕のない声で呼んだ。
「わかっているさ、エイプリルフールだろう?」
わかっているならなぜ、
「伊達、俺はお前が好きだ。たとえエイプリルフールがどうだろうと、お前に対してせめて誠実でありつづけたいんだ」

「好きだ、伊達」
「桃、俺はお前が好きだ」





伊達がどちらの意味で言ったのか、
伊達は最初から判断は桃に委ねている。
「邪鬼様、ご立派でございます」

櫛を通し髪を結い上げ、袴姿の邪鬼は影慶の熱っぽい声へゆるく首を振って。

「どうだ、影慶よ」
「ご立派でございます、邪鬼様」

「………そうか」










五分後、邪鬼がエイプリルフールについてGoogle検索していたとの目撃情報に、真っ青になった影慶は邪鬼の名を絶叫しながら廊下を駆けた。
「雷電先生、ぼく先生が大好きです、尊敬しています、えっと…敬愛、しています」

子供はたどたどしくも強い口調でそう言った。
「拙者もでござるよ、そう、友愛でござる」
「性愛ではいけませんか」
「なに、」
「性愛ではいけませんか」


子供は本気の顔を隠さない。
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