邪鬼の目の前を群青紫の蝶蝶が走り抜けていった。
重たげに羽を軽く震わせ雄雄と、空気を捉えては滑空していく姿に目を奪われる。
思わず手を伸ばした、と同時に鋭い声がかかる。
「邪鬼様、毒蝶です」
影より滑り出て、影慶が背後から密やかにたしなめた。振り返って邪鬼は目を細める。
「燕殺しを食べるせいで、隅隅まで毒が」
「美しいな」
「………はあ」
大した感慨も無さそうに影慶が答える、次の瞬間彼の身体はたくましい腕にすっぽりと抱かれていた。
「じゃ、」
「毒があるものはすべからく美しい、」
貴様のように。
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