うそつけ

卍丸はなるべく誠実に、早口でなく、目をぎらつかせず、あくまで紳士的に羅刹へ言った筈である。
「優しくする」
「くだらん嘘をつくな！」
羅刹は怒鳴り声でその宣言を打ち消した。ついで闇雲に蹴りを放つ。
「縛っておいて優しくも何もあるかッ！」

両腕は封じられていた。

その指先

羅刹の全てを貫き通す指先をそっと掴んで、伊達は自分の胸へと押し当てさせる。
恐い眉がいぶかしげに跳ねて、じろりと睨む羅刹へ伊達は一つウインク。ウインクまでも器用にこなす、凶悪なまでの完璧さよ。

「俺の胸打ちぬいた責任取ってくれるんだろうな、センパイ」

ええ？とからかうような笑顔の後輩に羅刹は戸惑いながら顔をそむけるだけの拒絶しか表せない。

笑う

伊達が笑う
傷が笑う

センクウ嫁

嫁なので続きへ

まばゆい

伊達は汚濁にまみれてなお、目のかがやきを燃え立たせる男である。
その伊達が見据えた桃は、さらにまばゆい男であった。