男塾の描写練習をしていきます。
ツッコミ歓迎コメント歓迎
つゆ知らず。
張り出した傘同士が、恋しい二人の邪魔になる。
「だからといっても、傘を忘れていい訳じゃない」
飛燕が文句を言った。土砂降りの中富樫が約束を律義に守り、迎えに来たのは嬉しかったが。
「店の予約まで時間がねぇな…走るか」
「馬鹿」
飛燕の細い足を包むパンツは下ろしたばかり。普段人の足を綺麗だとか、器用だとか誉めておいて、なんて野望だと飛燕は憤慨する。
飛燕の視線が足元にあったのを、富樫は靴のせいだと睨んだ。
「なら、行くぜ!」
「え、わッ!?」
富樫は飛燕を肩へ担ぎ上げた。まるきり山賊に拐かされた娘、荷物のように担がれた。富樫は雨の中を走り出す。足元がびしょ濡れになるのも構わぬ様子。
「ば、馬鹿!」
「早くしねぇと、時間が勿体ねぇだろうが!」
時間。
ふたりの、時間。
飛燕がお姫様抱っこでないことに不満をいい忘れるほど、富樫の横顔は格好が良かった。
六月の雨の雫に乱れた前髪と言ったら!飛燕はどきりとする。
「あっ」
結局転んで、しこたま怒られる富樫であった。
張り出した傘同士が、恋しい二人の邪魔になる。
「だからといっても、傘を忘れていい訳じゃない」
飛燕が文句を言った。土砂降りの中富樫が約束を律義に守り、迎えに来たのは嬉しかったが。
「店の予約まで時間がねぇな…走るか」
「馬鹿」
飛燕の細い足を包むパンツは下ろしたばかり。普段人の足を綺麗だとか、器用だとか誉めておいて、なんて野望だと飛燕は憤慨する。
飛燕の視線が足元にあったのを、富樫は靴のせいだと睨んだ。
「なら、行くぜ!」
「え、わッ!?」
富樫は飛燕を肩へ担ぎ上げた。まるきり山賊に拐かされた娘、荷物のように担がれた。富樫は雨の中を走り出す。足元がびしょ濡れになるのも構わぬ様子。
「ば、馬鹿!」
「早くしねぇと、時間が勿体ねぇだろうが!」
時間。
ふたりの、時間。
飛燕がお姫様抱っこでないことに不満をいい忘れるほど、富樫の横顔は格好が良かった。
六月の雨の雫に乱れた前髪と言ったら!飛燕はどきりとする。
「あっ」
結局転んで、しこたま怒られる富樫であった。
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島田が天動宮に呼ばれた。
その報せに総務財務部は揺れた。大いに揺れた。
天動宮、それはずばり、防衛庁長官大豪院邪鬼の執務室である。
そこにたんなる一般事務職の島田が、岐阜県出身独身猫と二人暮しの島田が、呼ばれた。
総務財務部を電撃のような推測憶測邪推が飛び交う。
「島田、無事に帰って来い!」
誰かが小さく呟くと、よたよたと足取りを乱しながら当の島田が戻ってきた。わっ、と部の人間たちに囲まれる。
「どうした!」
「何があった!」
「何のようだった!」
「邪鬼様素敵だった!?」
「影慶さまは!?」
島田はまだ蒼い顔でもって、
「…見合いをせぬかって、そう言われました」
み あ い ?
最近仲人というものに興味を持たれた、大豪院邪鬼。
彼は手始めに、手当たり次第に見合いを組む事にしたのだった。
その報せに総務財務部は揺れた。大いに揺れた。
天動宮、それはずばり、防衛庁長官大豪院邪鬼の執務室である。
そこにたんなる一般事務職の島田が、岐阜県出身独身猫と二人暮しの島田が、呼ばれた。
総務財務部を電撃のような推測憶測邪推が飛び交う。
「島田、無事に帰って来い!」
誰かが小さく呟くと、よたよたと足取りを乱しながら当の島田が戻ってきた。わっ、と部の人間たちに囲まれる。
「どうした!」
「何があった!」
「何のようだった!」
「邪鬼様素敵だった!?」
「影慶さまは!?」
島田はまだ蒼い顔でもって、
「…見合いをせぬかって、そう言われました」
み あ い ?
最近仲人というものに興味を持たれた、大豪院邪鬼。
彼は手始めに、手当たり次第に見合いを組む事にしたのだった。