「じいちゃん、じいちゃん」
「なんじゃい」
じいちゃんは慌てて蚊取り線香の火をサンダルの靴底でにじり消した。
幼いわたしが火傷なんぞしないようにとのことだろう。
「桃さんってかっこういいねえ」
「そうか?」
「うん」
「あれでな」
「うん」
「あれでしょうがねえところがあんだよ、」
わたしはじいちゃんから桃さんのうっかりな話を聞いた。二人で声を上げて笑う。
「どうやら俺の悪口で盛り上がってるようだな」
突然現れた、スイカ片手の桃さんに二人揃って飛び上がる。
慌ててギブミーギブミーしてんかしたら、桃さんは肩をゆさぶって大笑い。
わたしもじいちゃんも大笑い。
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