男塾の描写練習をしていきます。
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暗闇である。
センクウは少女の手から椀を取り上げた。
手にすっぽりとは収まらない大きさの椀に、ハシリドコロを煎じた薬液がなみなみと入っている。
「止せ、これは」
これは毒だそう言うと、
「承知です」
そっけない声が返ってきた。
「毒を持ってこの香りを保つのです」
「死ぬぞ」
「香りがなくなれば、わたしはしぬもどうぜんでしょう。香りはわたしをひつようとしません、ですが」
少女は涙声で言った。
「香りのないわたしを、だれがめでてくれますか」
センクウの答えがすぐになかったのを、少女は毒で濡れた唇で少し笑う。
そんな夢を見た日、センクウは無性にあの小さな頭を撫でてやりたくなった。
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