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男塾の描写練習をしていきます。 ツッコミ歓迎コメント歓迎
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いつもガァガァと威勢のよい男。

固めた拳に脈脈と命をたぎらせた男。

笑うとたちまちくちゃりとガキくさくなる男。
前へつんのめりながらも爆走を続けた男。

馬鹿で、馬鹿だからこそ尊い男。


その男が不意に立ち止まる。傷の走ったその面へ翳りが走るのを桃は見た。

「富樫」

呼ぶ。
なんだよと振り返ったらもう普段の男に戻っている。
その強がり含めて桃は愛していた。
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「じいちゃん、じいちゃん」
「なんじゃい」

じいちゃんは慌てて蚊取り線香の火をサンダルの靴底でにじり消した。
幼いわたしが火傷なんぞしないようにとのことだろう。

「桃さんってかっこういいねえ」
「そうか?」
「うん」
「あれでな」
「うん」


「あれでしょうがねえところがあんだよ、」

わたしはじいちゃんから桃さんのうっかりな話を聞いた。二人で声を上げて笑う。

「どうやら俺の悪口で盛り上がってるようだな」

突然現れた、スイカ片手の桃さんに二人揃って飛び上がる。

慌ててギブミーギブミーしてんかしたら、桃さんは肩をゆさぶって大笑い。
わたしもじいちゃんも大笑い。

富樫、富樫、抱いてくれ。
スーツなんか脱いで、生身の腕で抱いてくれ。
このまとわりつく死の匂いなんざ、
「ヘでもねえや」
って笑い飛ばしてくれ。

お前の強さを俺にくれ。



「でも実際抱くのは俺だがな」
「桃おめえ台無しにもほどがあんぜ」

富樫は桃を最初はしょうがねえなあと思ってるけど、ふとしたあたりからドーンと受け入れるようになるかもしれない。


俺をほったらかしにして新聞読んでる富樫。
とんがらせている唇がもったいねえ気がして、タバコの代わりにでもと俺は横ざまから口付けた。狙いは外れて頬のあたりに着地。
富樫はハッとしたようだった。
ハッとして息を飲んで、頬を押さえた。

何時もみたいに、ナニさらすんじゃボケと怒るか。怒られるのを待ってるなんて言えやしないけどな。

「桃よう、……おめえはしょうがねえなあ」


そんな、ガキを見るように笑うなよ。惚れ直しちまう。

そう言うと富樫は、

「おらどっからでも来いや」

って腕を開いて俺に明け渡して不敵にフッフフと笑う。

そんな、男前が俺は喩えようも無く好きだ。
明け渡された場所は遠慮なく頂く。

「たまにな」
桃は窓の外に目をやりながら呟いた。

「たまに俺には、伊達が」
桃は目を伏せた。頬に笑みのかげりがある。

「必死に懸命に毛を逆立てる猫のように見えるんだ」


おかしいかと聞かれたので、ああおかしいともと言ってやった。
「そうかな」

そうだとも、と言ってやった。
ただあんまりきれいな顔で桃がそういったので、少しばかり返事が遅れたかもしれない。

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