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男塾の描写練習をしていきます。 ツッコミ歓迎コメント歓迎
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「えー…羅刹、さん」
「はい」

「……あの、リングネームか何かかしら」

「……」

「お引き取り下さい」




羅刹は羅刹である、名字はない、
何か理由があるのかもしれないし、本当に無いのかもしれなかった。
それを誰も咎めはしなかった、
今まで。
「…どうした、羅刹よ。浮かぬ顔だな」
「は、邪鬼様。実は…面接に落ちてしまったのです」
「ほう?貴様ほどの男を落とすとは……案ずるな、見る目が無いのだ」
邪鬼は太く笑った。
羅刹は思わず胸が熱くなるような気持で、ぐっと奥歯を噛む。
「……実は、俺には名字がなく、それで落とされてしまうのです」
「なんだ、そんな事でなやんでいるのか」
「……?」
「大豪院を名乗るがよい、羅刹よ。この邪鬼がそれを許そう……貴様にはその資格がある」
「邪鬼様……!」
「ふ、大豪院を名乗るのだ、失敗は許さぬぞ」
「この羅刹、必ず…!」



かくして羅刹はセブンイレブン九段下店夜間アルバイトになった。






「羅刹が邪鬼様の籍に入った……だと……!?」
怒れる毒手が迫っている。
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桜が満開の公園、花見の場所取りのブルーシートが隙間無く地面を埋めている。
桃は伊達をともなって歩きながら、桜がもっともよく見える位置に寝そべっている乞食を見つけた。

汚らしい身なりの痩せた老人だが、ゆうゆうと寝そべり、ワンカップの酒を手に顔を赤くしている。
よほどの酒好きなのか、カップをあおって口に含むとき目をうっとりと細めて喉を鳴らした。
その赤らんだ顔へほろりほろりと桜の花びらが落ちていくのを、微笑みながら乞食はただ時を味わっているようだった。

伊達は別に目をそらしはしない。桃も同様である。むしろ桃はうらやむ響きのこもった声を上げた。
「伊達、ああいうのもいいな」
「俺はごめんだ」
「ああしているのを見ていると、何か好きなもの一つだけあれば、他になにがなくとも幸せなのかもしれない」
「……そうかもわからねぇな」
伊達にも何か、思うところがある。

桃はそうだろうそうだろうと頷いて、
「いつか俺にさらわれてくれるか」
「真っ平だ」
「あさましくも私は、貴方に愛玩されたいのですよ、邪鬼様」

影慶は密かつぶやいた。
同志として見てもらえなくともいい、
信頼できる部下でなくてもいい、
ただ、愛玩されたいだけ。

そうつぶやいた。
伝えるには臆病過ぎる、そのためこうして時折転がしては弄んでいる。
「桃の節句が終わったと思って、油断していたな?」
桃は楽しげに言って、伊達の首元からネクタイをシュッとヘビを扱うように鋭く取り去った。
「わざわざそれで、四日になるのを見計らって来たのか………」
「そうさ、お前の驚く顔が見たかったんだ、伊達」
はっきり言い放つと、桃は快活に笑う。なんの曇りも迷いもないあかるい笑顔だった。
伊達はもはやあきらめの体で、ため息混じりに、
「お前は嫌がらせの天才だよ…」
「天才は忘れた頃にやってくるのさ、そうだろう?」


桃に口で勝てるわけもないのだ。
舌を抜けるほど吸われながら、伊達はぼんやりと陥落した。
「飛燕、俺の槍を知らねぇか」
「さっき虎丸が持っていきましたよ」
「そうか」


「温室にバラが咲いた、見に来るといい」
「はい、どうもありがとうございます、センクウ先輩」
「摘んでも構わない」


「弱ったな」
「どうしたんです?桃、困った顔をして」
「袖がほつれてきちまったんだ、このままじゃ赤石先輩だぜ」
「私でよかったら繕いますよ」



「なあ飛燕よう」
「なんだ、富樫」
「今日飯でも食いに行くか」
「ああ、またラーメンか?…フッ」
「悪いかよ」
「フフフ、悪くはないさ。お前らしいと思っただけさ、さ、行こうぜ」





「使い分け、上手いな」
「なんのことです?桃」
「いや、ちょっとあてられただけさ…フッフフ」
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