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「舐めよ」

簡潔な命令とともに、目の前へつき出されたものへ、影慶は翳り落ち窪んだ目を細めてむしゃぶりついた。

常人のものと比べても長く、そして太い。勢いをつけ過ぎて口内へ引き込んだために、影慶は何度か喉を突かれてえずく。

「ん……」

余すところなくぬらり濡れた舌を絡める、全て舐め尽くす。せわし荒い呼吸に目の前を曇らせながら、影慶は邪鬼の恵みを貪った。


なんという美味、
なんという官能、
なんという口福、

「……ふ、犬のようだな。そんなにも美味か」

半ば呆れたような邪鬼言葉に、影慶は掻き立てられたわずかばかりの羞恥をその何倍もの悦楽へ焦がす。震える手を伸ばして逃がさぬようにすがり付いた。


「……美味しゅうございます、……酷く甘い、」
「そうか」


顔を上げ、邪鬼の好まぬ丁寧な口調で影慶は皮膚の薄い頬に笑む。



甘い、
甘い、
喉がひりつくほどに甘い、
甘いから喉が乾く、
また、欲しくなる、


「浅ましいことよ」

どこか嬉しそうに邪鬼が笑った。既に影慶は再び恵みへ舌を這わせ、口に含み、頭を軽く揺らして角度を変えながら、一滴残さぬよう丹念に舐め取っている。





「この邪鬼が手ずから蜂蜜をやったのだ、一刻も早く傷を癒し…再び俺に尽くすがよい」
「…はい、我が君」


唇を黄金色の蜂蜜に濡らしながら、影慶は邪鬼の人差し指を軽く食んだ。

覇王の爪に歯を立てて。
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