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男塾の描写練習をしていきます。 ツッコミ歓迎コメント歓迎
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「こんな日ぐらい『俺の織姫』とか言ったらどうなんだ、富樫」

飛燕は針を手にしたまま腹立たしげに言った。
目の前にはゴミだか人だかわからないほとくちゃくちゃになった富樫が転がっている。
虫の息だが、なにか呟いたらしい。
冷ややかに見下ろした飛燕はしばらく押し黙っていたが、おもむろに治療を開始した。


「頼むぜ、織姫」
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「伊達、とっても好きだ」
「桃、頭が腐ったのかよ。ちょうど発酵日和だったしな」
「アモーレ」
「桃」
「アモーレ!!」
「桃!」




遠くから雷電が走ってくる。ひどくすまなそうに頭を下げて、
「伊達殿、すまぬ。剣殿に蒼天航路をお貸ししたのでござる」
桃は唐突に伊達へ言った、
「なぁ伊達あれは…幸福な王子だったか?それとも幸福の王子だったか?」
「いきなりなんだ、オスカー・ワイルドか」
「そうだ」
「どっちだったか…なんでそんなことを聞く」
「最後目も見えず焼かれてしまったろう、単なる幸福の象徴じゃなく、幸福【な】王子なら良かったと思ったのさ」

「そんなこと考えてやがったのか」
「おかしいか?」
「まぁな」
「お前の幸せをいつも考えているぜ、伊達」



一瞬伊達は言葉を死なせてしまった。
「伊達、お前はまったく、燕のようだよ」
「あ?燕なら飛燕だろうが」
「フッフフ」
「邪鬼様、休憩しましょう」
影慶が盆に湯のみと菓子をのせてやってくるのはちょうど三時。
邪鬼が顔を上げた、
「今日の菓子はなんだ」
「豆大福です」

ただ黒漆に濡れた静かな皿の上に、豆大福が素朴に山と積みあがっていた。
分厚い白い皮に、豆がうすく透けて影色がところどころ。打ち粉がぜんたいにきしきし言うほどふってある。
邪鬼のためにこしらえたのだろう、どれもサイズが大人の握りこぶしのようだった。
「うむ」
邪鬼は影慶の持ってきた手拭で手を清めると山の頂上を掴んだ。
打ち粉が唇の周りを汚すのもかまわず、わし、とほお張る。
行儀の悪さがなぜか高貴に見えるのだから邪鬼という男は底が知れない。
「うむ」
あまさ、塩加減、皮の弾力、どれも申し分ない。
そう言うと、ほっとしたように扉の向こうで羅刹が息をついた。
「雷電先生、ぼく先生が大好きです、尊敬しています、えっと…敬愛、しています」

子供はたどたどしくも強い口調でそう言った。
「拙者もでござるよ、そう、友愛でござる」
「性愛ではいけませんか」
「なに、」
「性愛ではいけませんか」


子供は本気の顔を隠さない。
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