ち。
伊達の唇が割けた。
血の珠がぷつりと吹き出る。
「切れたんか、」
虎丸が顔をしかめた伊達を心配そうに見た。
伊達が頷くと、虎丸はスーツのポケットをごそごそやってリップクリームを取り出す。
「塗っとけや」
断る理由もなく伊達はリップクリームを受け取ると唇へ塗った。
「気のきいたものを持ってるじゃねぇか」
「あ、これ?これは」
虎丸はメントールの入ったリップをいきなり目の周りに塗りたくった。次いで鼻の下へ。
目を丸くした伊達へ虎丸は弾けるウインク。
「目覚ましがわりじゃ!」
「汚ぇもの貸すんじゃねぇッ!!」
次の瞬間虎丸は尻を蹴飛ばされ、窓ガラスへと突っ込んで粉々にしながら地面へと落ちていった。
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