たまたま桃の手土産が、折り詰めのシュウマイだった。
富樫は差し出されたその包み紙を受け取りながら、目を細めている。
「どうした?」
「…あんちゃんがな」
「……ああ」
「バイトの給料日には肉屋で買ってきてくれんだよ、6つ」
「ああ」
「三つ三つの半分ずつにして、俺はそれを晩飯に二つ食った。残り一つは醤油かけて置いとくんだよ、明日食うからって。ワクワクしながら眠ってな」
「そうか」
「朝起きて醤油ひたひたのシュウマイ見たら、二つになっとるんじゃ。あんちゃんに聞くと、不思議じゃのうって」
「…………」
「俺ァ馬鹿だから、不思議の一言で片付けっちまってた。それを、思い出したんじゃ」
「……富樫」
「食おうぜ、桃」
桃は笑った富樫の頬に指で触れた。優しく触れた。次いで自分の頬で触れた。腕を伸ばす。肩を掴む。
抱く。
強く抱く。
懸命に抱く。
愛しい。
富樫は差し出されたその包み紙を受け取りながら、目を細めている。
「どうした?」
「…あんちゃんがな」
「……ああ」
「バイトの給料日には肉屋で買ってきてくれんだよ、6つ」
「ああ」
「三つ三つの半分ずつにして、俺はそれを晩飯に二つ食った。残り一つは醤油かけて置いとくんだよ、明日食うからって。ワクワクしながら眠ってな」
「そうか」
「朝起きて醤油ひたひたのシュウマイ見たら、二つになっとるんじゃ。あんちゃんに聞くと、不思議じゃのうって」
「…………」
「俺ァ馬鹿だから、不思議の一言で片付けっちまってた。それを、思い出したんじゃ」
「……富樫」
「食おうぜ、桃」
桃は笑った富樫の頬に指で触れた。優しく触れた。次いで自分の頬で触れた。腕を伸ばす。肩を掴む。
抱く。
強く抱く。
懸命に抱く。
愛しい。
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