あ、と桃が声を上げた。伊達が振り向く。
「しまった、昨日は六月九日だったんだな」
「それがどうした」
いかにも残念そうに桃、
「伊達、六月九日だぜ?」
と繰り返す。
「だからどうした」
「六月九日の語呂にかけて、お前と」
桃が言い終わる前に、急に伊達が火柱を上げた。
「言うな!!聞きたくねぇ!!」
「…ロックバンドが生演奏するバーがあるんだって、言おうとしたんだが…」
「あ?」
フフフお前、何を想像したんだ?
フフフフ俺は一日遅れでも、全然構わない、むしろ歓迎さ。
桃は笑った。悪い人の笑顔だった。