男塾の描写練習をしていきます。
ツッコミ歓迎コメント歓迎
「富樫、泣いてくれ」
それを口にするには勇気がいった。
語尾が少しばかり震えっちまっているのを桃は自分の声ながら笑う。
「俺のためだけに泣いてくれ」
「桃、おめえどうしちまったんだ?」
「お前があんまり誰にも彼にもお前だからさ」
「あーん?」
「そこがいいのは知ってるぜ、だけどな」
富樫は尚もブツクサ言い続ける桃の胸倉を掴んで顔を近づけると、その鼻に横からかぶりつくようにして軽く噛んだ。
剛な歯茎の持ち主でもある富樫、さすがに力加減は考えていて桃の顔の凹凸をなくすことはしない。
「……これでいいかよ、ンなことすんのァ、てめえ以外にいるかよ」
「…富樫」
「涙なんか、泣こうとしたって泣けるもんじゃあねえや、ナ」