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男塾の描写練習をしていきます。 ツッコミ歓迎コメント歓迎
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桃が首をすくめた、富樫が桃の頬についていた花びらを落とそうと指を伸ばしたのだが、その指先がチクチクと荒れていたのが掠めたらしい。

「悪ィ」
「いいさ」

その荒れた太い指が、桃は好きだった。

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スーツの富樫があんまり精悍に立っていたから、
ものすごくたまらない気持ちになる。
「なんじゃい、…けっ、おかしいなら笑えや」


おかしかないさ。
おかすしかないさ。

なんて。

いつもガァガァと威勢のよい男。

固めた拳に脈脈と命をたぎらせた男。

笑うとたちまちくちゃりとガキくさくなる男。
前へつんのめりながらも爆走を続けた男。

馬鹿で、馬鹿だからこそ尊い男。


その男が不意に立ち止まる。傷の走ったその面へ翳りが走るのを桃は見た。

「富樫」

呼ぶ。
なんだよと振り返ったらもう普段の男に戻っている。
その強がり含めて桃は愛していた。

富樫、富樫、抱いてくれ。
スーツなんか脱いで、生身の腕で抱いてくれ。
このまとわりつく死の匂いなんざ、
「ヘでもねえや」
って笑い飛ばしてくれ。

お前の強さを俺にくれ。



「でも実際抱くのは俺だがな」
「桃おめえ台無しにもほどがあんぜ」

「たまにな」
桃は窓の外に目をやりながら呟いた。

「たまに俺には、伊達が」
桃は目を伏せた。頬に笑みのかげりがある。

「必死に懸命に毛を逆立てる猫のように見えるんだ」


おかしいかと聞かれたので、ああおかしいともと言ってやった。
「そうかな」

そうだとも、と言ってやった。
ただあんまりきれいな顔で桃がそういったので、少しばかり返事が遅れたかもしれない。

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