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男塾の描写練習をしていきます。 ツッコミ歓迎コメント歓迎
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私達新宿のこどもにとって、にゃんこのおじさんはヒーローなのだ。
「にゃんこのおじさん!こんちわ!」
「だれがにゃんこのおじさんだ、てめぇの顔も揃いにしてやろうか」
「いやーん!」
「ねぇおじさん、うちのパパがご飯食べにいらっしゃいって!」
「……ふん、口説かねぇってんならな」
「あはは、パパ口紅べったりつけて待ってるよ!」


にゃんこのおじさんは食べてた柿ピーのピーナッツを投げてきた。
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意識の水底で、富樫はたゆたっていた。
ひたひたとなめらかな水は富樫の耳をふさぎ、視界をゆがませる。
何も聞こえない。
何も見えない。

が、
遠くからその水が揺らされた。魚の水槽を叩いたような。
どおん。
どおん、
どおおん、

(……桃?)

音が水を揺らし、富樫は意識を揺らした。
誰かが歌っている。

既に水は引いた。

 

光沢のあるみっしりと重たい生地で仕立てられたスーツを着込んだ羅刹は、それはそれは玄人だ。
まずサラリーマンには見えない。
そこへシルクのブラックタイなど締めようなら、今度はカタギに見えない。
更に花束など持たせれば、現実社会にいるようにすら見えない。

大輪の花束は百合。

「素敵よ、おじさま」
舞台化粧も落とさず、チュチュも脱がず、ただトウシューズだけを脱ぎ捨てたエトワールは笑った。
天上への憧れであるトウシューズを脱いだなら、ただ地べたを這いずる生身そのもの。
どこか浮世離れしていたステージ上とはまるで印象を変えて、羅刹へと飛びつく。
殴りかかってきた男をたった一発のパンチで伊達は静めた。
重みが違う、速さも違う、一瞬にして目の前に現れた星に打たれたようなものだ。
男はくたくたと倒れ掛かる、その後頭部を掴んで無理やりに伊達は立たせた。

「答えろ、誰に頼まれた」
「……」
鼻血が男の鼻からぷわっと玉になり、滴る。男の視線はきょどきょどと左右に忙しい。
三つ数えて、伊達は小鼻を一瞬膨らませて凶悪な笑みを作る。

「もみじおろしの作り方、知ってるかよ」

男を引きずって、雑居ビルの壁の前へ立つ。モルタル塗りがざらざら毛羽立って、ところどころ白い引っかき傷。
男が青ざめた。

「鼻が無くなったら大変だろうが」

男は悲鳴を上げて依頼主の名を口にした。
ネオンが毒毒しいピンクの影を、伊達の頬へ作る。
まぶたは浮ついたブルー。口元にはひややかなグリーン。
十蔵の切れ上がった眦を見て、
「素敵よ、十蔵ちゃん。歌舞伎のようだわ」
そう母は褒めた。
「……そうかよ」

赤をひとさし。
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